楽天証券を利用して米国株式の取引を始めた際、「注文状況」の欄に「出来ず(出来無)」や「執行待ち」といった見慣れないステータスが表示され、戸惑った経験はございませんでしょうか。
特に、せっかく注文を出したのに「出来ず」と表示されると、何が問題だったのか不安になるかもしれません。また、市場が開いているはずの時間なのに「執行待ち」のまま進まないケースもあります。
この記事では、楽天証券の米国株取引におけるこれらの注文ステータスの具体的な意味と、そう表示される主な理由、そして対処法について詳しく解説いたします。
注文ステータス「出来ず(出来無)」の意味
まず、最も分かりにくいかもしれない「出来ず(出来無)」というステータスです。
これは結論から申し上げますと、**「お客様が出した注文が、成立(約定)しないまま期限切れ(失効)になりました」**という意味です。
決して取引が拒否されたわけではなく、指定した条件と市場の状況が合致しなかった結果、売買が成立しなかったことを示します。
「出来ず(出来無)」となる主な理由
例えば、「JNJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)を1株、153.91ドルで買いたい」という注文を出した場合、以下のような理由で「出来ず(出来無)」となる可能性があります。
1. 指値注文の価格に達しなかった
買い注文の場合、指定した「153.91ドル」以下に株価が下がらなければ、注文は成立しません。もしその日の取引時間中に一度も指定価格に達しなかった場合、注文は成立しないまま取引時間が終了します。
2. 執行条件が「本日中」だった
注文を出す際、執行条件を「本日中」に設定していると、その注文はその日の取引時間が終了するまでしか有効ではありません。 上記1.の理由で価格が達しないまま取引時間が終了すると、注文は自動的に失効し、「出来ず(出来無)」と表示されます。
- 対処法: もし指定した価格で数日間待ちたい場合は、執行条件を「期間指定」や「無期限(GTC)」に変更する必要があります。
3. 注文した時間が取引時間外だった
楽天証券の米国株取引は、米国の取引所が開いている時間(現地時間 9:30~16:00)に合わせて行われます。 日本時間では、以下のようになります。
- サマータイム(3月第2日曜~11月第1日曜頃): 日本時間 22:30 ~ 翌 5:00
- ウィンタータイム(上記以外): 日本時間 23:30 ~ 翌 6:00
例えば、日本時間の20:30(市場が開く前)に「本日中」の注文を出した場合、その注文は22:30(または23:30)の開場と同時に市場に出されますが、その日の取引終了(翌5:00または6:00)までに約定しなければ、同様に「出来ず(出来無)」となります。
注文ステータス「執行待ち」の意味
次に「執行待ち」というステータスです。これは、**「注文は楽天証券によって正常に受け付けられましたが、まだ取引所(市場)へは発注されていない」**状態を示します。
注文がシステム内で待機している状態とご理解ください。
「執行待ち」となる主な理由
1. 米国市場が取引時間外
最も多い理由がこれです。 例えば、日本時間の金曜日お昼12時に週末の米国株注文を出した場合、市場が開く夜22:30(または23:30)まで、注文はずっと「執行待ち」の状態で待機します。
2. 逆指値注文など、条件が設定されている
特定の価格(トリガー価格)に達したら初めて注文を市場に出す「逆指値注文」などの場合、その条件を満たすまでは「執行待ち」として待機します。
【疑問】市場が開いている時間なのに「執行待ち」のまま?
では、「金曜日の23時58分」など、明らかに米国市場が開いているはずの時間(例: サマータイムで22:30開場)にもかかわらず、「執行待ち」のまま変わらないのはなぜでしょうか。
理由:「成行注文」でも処理のタイムラグがある
たとえ「成行注文(価格を指定せず、いくらでも良いからすぐに売買する注文)」で発注したとしても、証券会社のシステム内で処理が完了し、取引所に注文が到達するまでには、わずかなタイムラグが生じることがあります。
- 取引開始直後(例: 22:30ぴったり)
- 取引終了間際
- 金曜日の夜間(週末前の注文集中)
上記のような注文が混み合いやすい時間帯は、楽天証券のシステム内で注文の取次処理が行われている間、「執行待ち」と表示される時間が少し長くなることがあります。
どうすればよいか?
結論としては、「そのまま数分間待つ」のが基本的な対処法です。
成行注文は、市場において最も優先的に処理される注文方法です。システム処理が完了しだい、自動的に「注文中(市場へ発注済み)」を経て、すぐに「約定済」へとステータスが変わるはずです。
もし30分以上など、あまりにも長く「執行待ち」のまま変わらない場合は、通信障害やシステムの一時的な不具合の可能性もゼロではありませんので、その際は楽天証券のカスタマーサポートへ確認することもご検討ください。
まとめ
楽天証券の米国株取引における注文ステータスは、最初は少し戸惑うかもしれませんが、意味を理解すれば落ち着いて対処できます。
- 出来ず(出来無): 注文が成立せず、失効した状態。指値や執行条件を見直して再注文が必要です。
- 執行待ち: 注文がシステムで待機中の状態。取引時間になれば自動的に処理されます。
- 成行注文での「執行待ち」: 注文混雑時のタイムラグが原因であることが多いため、基本的にはそのまま待てば問題ありません。
これらのステータスを正しく理解し、快適な米国株投資にお役立ていただければ幸いです。