【C#】ジェネリックメソッドの定義と型推論によるコードの共通化

C#において、異なるデータ型に対して「同じロジック」を適用したい場合、ジェネリックメソッド(Generic Method)を定義するのが最も効率的です。

int型、double型、DateTime型など、それぞれの型専用にオーバーロードメソッドを作成するのはコードの重複を招き、保守性を低下させます。型パラメータ(<T>)を利用したジェネリックメソッドを定義することで、型安全性を保ちつつ、再利用可能なロジックを実装できます。

ここでは、任意のデータコレクションから「最大値」を探索して返す汎用メソッドの実装を例に、ジェネリックメソッドの定義方法と型推論について解説します。


目次

ジェネリックメソッドの概要

ジェネリックメソッドは、メソッド名の直後に <T> のように型パラメータを指定して定義します。呼び出し時には、具体的な型を指定するか、引数からコンパイラに型を推論させることができます。

また、最大値判定のように「値の比較」が必要な処理を行う場合、任意の型 T が比較可能であることを保証するために、where 句を使用した**型制約(Constraints)**の付与が不可欠です。

実践的なコード例:最大値探索ユーティリティ

以下のコードは、数値リストや日付リストなど、大小比較可能なあらゆる配列から最大値を抽出するメソッドの実装例です。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;

namespace GenericUtilities
{
    class Program
    {
        static void Main()
        {
            // シナリオ:
            // 異なるデータ型の配列から、それぞれの「最大値」を取得したい。
            // 1. 気温データ(double型)
            // 2. アクセスログの日時(DateTime型)

            var temperatures = new[] { 25.5, 30.2, 28.4, 31.0, 26.8 };
            
            var accessLogs = new[]
            {
                new DateTime(2025, 5, 1, 10, 0, 0),
                new DateTime(2025, 5, 1, 15, 30, 0),
                new DateTime(2025, 5, 1, 09, 15, 0)
            };

            // 1. 型引数を明示的に指定して呼び出す方法
            // <double> を指定することで、T が double として扱われます。
            double maxTemp = DataAnalyzer.FindMax<double>(temperatures);
            Console.WriteLine($"最高気温: {maxTemp}");

            // 2. 型推論(Type Inference)を利用して呼び出す方法
            // 引数の型(DateTime[])からコンパイラが T を DateTime と推論するため、
            // <DateTime> の記述を省略できます。
            DateTime lastAccess = DataAnalyzer.FindMax(accessLogs);
            Console.WriteLine($"最終アクセス: {lastAccess}");
        }
    }

    public static class DataAnalyzer
    {
        /// <summary>
        /// シーケンス内の最大値を探索して返します。
        /// </summary>
        /// <typeparam name="T">比較可能な型 (IComparable&lt;T&gt;を実装している必要があります)</typeparam>
        /// <param name="sequence">探索対象のコレクション</param>
        /// <returns>最大値</returns>
        public static T FindMax<T>(IEnumerable<T> sequence)
            where T : IComparable<T> // 型制約: Tは比較可能でなければならない
        {
            if (sequence == null || !sequence.Any())
            {
                throw new ArgumentException("シーケンスが空、またはnullです。");
            }

            // 最初の要素を仮の最大値とする
            T max = sequence.First();

            // 2つ目以降の要素と比較を行う
            foreach (var item in sequence.Skip(1))
            {
                // CompareToメソッドの戻り値が 0より大きい場合、item の方が大きい
                if (item.CompareTo(max) > 0)
                {
                    max = item;
                }
            }

            return max;
        }
    }
}

実行結果

最高気温: 31
最終アクセス: 2025/05/01 15:30:00

技術的なポイント

1. 型制約(where句)の重要性

ジェネリックメソッド内で item.CompareTo(max) のような比較操作を行う場合、型 T が比較メソッドを持っている保証が必要です。 単に <T> と定義しただけでは、Tobject として扱われるため、比較演算子や CompareTo メソッドは使用できません。 where T : IComparable<T> と記述することで、「TIComparable<T> インターフェースを実装している型に限る」という制約がかかり、メソッド内で安全に比較処理を記述できるようになります。

2. 型推論(Type Inference)

FindMax(accessLogs) のように、呼び出し時に <T> を省略できる機能です。コンパイラは引数の accessLogsIEnumerable<DateTime> であることを検知し、自動的に TDateTime と決定します。これにより、コードの記述量が減り、可読性が向上します。

3. 再利用性の向上

この FindMax<T> メソッドは、int, long, decimal, string, TimeSpan など、IComparable<T> を実装しているすべての型に対して利用可能です。特定の型に依存しないロジックをライブラリ化する際、ジェネリックメソッドは必須の技術となります。

まとめ

ジェネリックメソッドを活用することで、型の違いによるコードの重複を排除し、汎用的で堅牢なロジックを構築できます。特にコレクション操作や比較・変換処理などを実装する際は、特定の型に依存しないジェネリックな設計が可能か検討してください。

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この記事を書いた人

私が勉強したこと、実践したこと、してることを書いているブログです。
主に資産運用について書いていたのですが、
最近はプログラミングに興味があるので、今はそればっかりです。

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