はじめに
2025年に入ってから、米国株式市場は調整局面に突入し、多くの投資家が不安を感じている状況です。特にS&P500は2月に史上最高値を記録した後、10％以上の下落となり、市場全体のムードも一変しました。
そんな中、注目を集めているのがウォーレン・バフェット氏の動きです。2024年末から2025年初頭にかけて、彼が率いるバークシャー・ハサウェイが大手銘柄を次々と売却していたことが明らかになっています。結果的にそれは非常に理にかなった売却タイミングとなっており、「やっぱりバフェットはすごい」と再評価されているのです。
この記事では、バフェット氏の売却の背景や市場の動向を振り返りながら、なぜ彼の投資判断が注目に値するのかを整理していきます。
ウォーレン・バフェット氏とは
まず改めて、ウォーレン・バフェット氏について簡単にご紹介します。彼はアメリカの著名な投資家で、「オマハの賢人」とも呼ばれています。長期的な企業価値に着目した「バリュー投資」の代表的な人物で、彼が率いるバークシャー・ハサウェイは米国株式市場で圧倒的な影響力を持っています。
彼の投資手法は、短期的な値動きに惑わされず、企業の本質的価値を見極めて投資するというものです。そんなバフェット氏が動くと、市場参加者もその意図を読み取ろうと注目します。
2024年末〜2025年初頭の売却ラッシュ
バフェット氏が最近行った主な売却は以下の通りです。
- アップル株の一部売却：長年保有してきた主力銘柄であるアップル株の一部を売却しました。アップルはバークシャーのポートフォリオの中でも中核を担っており、その一部売却は大きな話題となりました。
- バンク・オブ・アメリカの大幅売却：同様に、バンク・オブ・アメリカの持ち株も大きく減らしています。2024年後半から2025年初めにかけての売却で、総額は数十億ドル規模とも言われています。
- 石油関連株の削減：シェブロンなど、エネルギー関連銘柄の保有比率も調整しています。
こうした動きの背景には、市場の過熱感や、金利動向、地政学リスクなど、複数の要因を見越した戦略があると考えられます。
S&P500が調整局面へ
2025年3月時点、S&P500は史上最高値から10％以上下落し、いわゆる「調整局面（correction）」に入っています。特に注目されているのが、これまで相場をけん引してきた「マグニフィセント・セブン」（Apple、Amazon、Meta、Tesla、Nvidia、Microsoft、Alphabet）といった大型ハイテク株の下落です。
こうした下落は、企業業績への不安や、利下げ期待の後退、そして米国経済の減速懸念などが複雑に絡み合った結果です。バフェット氏はこうした展開をあらかじめ予測していたのではないかと見る向きもあります。
結果的に「高値で売った」ことに
2024年末〜2025年初頭にかけての売却が、結果として「高値圏での利確」となったことで、バフェット氏の相場観やタイミングの見事さが改めて注目されています。
もちろん、バフェット氏本人は「市場を予測することはできない」とたびたび語っています。しかし、企業価値に対する厳格な評価と、慎重な資本配分によって、「割高だと感じたときに売却する」判断を徹底していることが、今回のような結果につながっているのかもしれません。
今後に向けた現金保有の意味
バークシャー・ハサウェイは現在、過去最高水準の現金を保有していると言われています。これは、将来の「買い場」を見据えて準備しているとも考えられます。つまり、バフェット氏は今の相場に対して慎重である一方、割安な銘柄が出てきたときには積極的に買いに動く準備をしているというわけです。
まとめ
ウォーレン・バフェット氏の2024年末〜2025年初頭の売却判断は、結果的に市場の調整局面とぴったり重なり、非常に巧みな判断だったことがわかります。
- 高値圏で主力銘柄を売却
- 調整相場が到来し、売却の妥当性が明らかに
- 現金を多く保有し、次のチャンスを待っている
バフェット氏の一挙手一投足には、やはり学ぶべき点が多くあります。短期的な値動きに一喜一憂せず、企業の本質を見極める長期的な視点。そんな姿勢こそが、私たち個人投資家にも必要なマインドセットなのかもしれません。
