Excelには、データのばらつき具合（散らばりの程度）を測るための**「標準偏差」**を計算する関数が複数用意されています。
この記事では、それぞれの関数の違いや使い分け方について、わかりやすく解説いたします。
標準偏差とは？
標準偏差とは、データが平均からどれだけ散らばっているかを示す指標です。
値が大きいほどバラつきが大きく、小さいほど平均に近いデータが多いことを意味します。
Excelでは用途に応じて、いくつかの関数が用意されています。
Excelの標準偏差関数一覧と使い分け
STDEV.P（または旧STDEVP）：母集団全体の標準偏差を求める
概要
- 母集団全体が既知であるときに使用します。
- データすべてが分析対象であり、部分的なサンプリングではない場合に最適です。
構文
=STDEV.P(数値1, [数値2], ...)
例
=STDEV.P(A1:A10)
STDEV.S（または旧STDEV）：標本の標準偏差を求める
概要
- 母集団の一部（標本）に対して計算します。
- 多くの実務では、すべてのデータがそろっていないため、こちらを使用する機会が多いです。
構文
=STDEV.S(数値1, [数値2], ...)
例
=STDEV.S(B1:B20)
STDEVA：標本の標準偏差を求める（テキスト・論理値含む）
概要
- テキストや論理値（TRUE/FALSE）も含めて計算します。
- TRUEは1、FALSEや文字列は0として扱われます。
構文
=STDEVA(数値1, [数値2], ...)
STDEVPA：母集団の標準偏差を求める（テキスト・論理値含む）
概要
- STDEV.P と同様に母集団全体を対象としながら、テキストや論理値も数値として処理します。
構文
=STDEVPA(数値1, [数値2], ...)
関数の使い分け早見表
| 関数名 | 対象 | 論理値・文字列含む | 使用シーンの例 |
|---|---|---|---|
| STDEV.P | 母集団 | 含まない | 売上など全データが揃っている場合 |
| STDEV.S | 標本 | 含まない | 顧客アンケートなどの一部抽出調査 |
| STDEVA | 標本 | 含む | TRUE/FALSE付きの調査データなど |
| STDEVPA | 母集団 | 含む | 全データに論理値が含まれている場合 |
まとめ
Excelの標準偏差関数は、データの性質や扱い方に応じて使い分ける必要があります。
- 全体データを扱う場合は
STDEV.P - 一部データ（標本）を扱う場合は
STDEV.S - 論理値や文字列も含めて扱いたい場合は
STDEVAまたはSTDEVPA
データの特性を正しく理解した上で、適切な関数を選ぶことが正確な分析の第一歩となります。
ぜひ実際の業務や学習にご活用ください。
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