はじめに
最近、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカーシンボル:JNJ)の株式を購入したことをきっかけに、この企業について詳しく調べてみました。
この記事では、ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業内容、歴史、直面してきた裁判や事件、さらに現在の財務状況についてまとめます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンとはどのような会社か
事業内容
ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業は、大きく3つの部門に分かれています。
- 医療用医薬品
がん、精神疾患、神経疾患、免疫疾患、代謝・循環器疾患向けの医薬品に加え、ワクチン開発なども行っています。 - 医療機器
外科手術用縫合糸、医療用消毒器、骨折治療用機器など、医療現場向けの製品を取り扱っています。 - 一般消費者向け製品
バンドエイド、ベビーオイル、ベビーパウダー、コンタクトレンズ、解熱鎮痛薬タイレノール、目薬バイシンなどが有名です。
一見するとバンドエイドなどのBtoCビジネスが中心に思えますが、実際には収益の約85%が**製薬・医療機器事業(BtoBビジネス)**から成り立っています。
格付けについて
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、世界最大の格付け機関S&PからAAAの最高格付けを受けています。
このAAA格付けを持つ企業は、世界でマイクロソフトとジョンソン・エンド・ジョンソンの2社しか存在しません。
- 高い営業利益率
- 豊富な特許取得数
- 毎年多額の研究開発投資
これらの要素が、他社を寄せ付けない強固な競争力の源泉となっています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、まさに超優良企業と言えるでしょう。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの歴史
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、1886年にジョンソン三兄弟によって創業されました。
創業者の一人、ロバート・ウッド・ジョンソンは、南北戦争で負傷した兵士たちが感染症で命を落とす現実に心を痛め、当時最先端だった無菌手術理論を取り入れ、殺菌済みの外科用包帯と縫合糸の大量生産を開始しました。
当時は手術の際にも無菌室が存在せず、手術後の感染症が死因となるケースが多発していたため、この「殺菌済み」という発想は非常に画期的なものでした。
創業以来、ジョンソン・エンド・ジョンソンは「人々の命を救い、健康を支える」という理念を受け継ぎ続けています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンと裁判・事件
ベビーパウダー訴訟
2017年頃から、ベビーパウダーに関する集団訴訟が相次いで提起されました。
訴えの内容は、「ベビーパウダーに含まれるアスベストが原因で卵巣がんを発症した」というものです。
ジョンソン・エンド・ジョンソン側は「アスベストは含まれておらず、安全性は科学的に確認されている」と主張しましたが、ミズーリ州控訴裁判所は企業側に賠償責任を認め、21億ドルの賠償金支払いを命じました。
オピオイド中毒をめぐる訴訟
2019年、オクラホマ州において、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)中毒拡大の責任を問われ、ジョンソン・エンド・ジョンソンは5億7200万ドルの制裁金を科されました。
州側は「ジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング活動が医師による過剰処方を招いた」と主張していますが、企業側は「科学的根拠に基づくものであり、市場シェアも限定的だった」と反論しています。
この訴訟は現在も完全な決着には至っていません。
タイレノール事件
1982年、シカゴ周辺でタイレノール服用者の突然死事件が発生しました。
当初は製造過程での混入が疑われましたが、後の調査で店頭での毒物混入であることが判明しました。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの迅速かつ誠実な対応は高く評価され、現在でもビジネススクールでのケーススタディとして取り上げられています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの財務情報
財務指標(実績)
- 粗利益率:65.70%
- ROE(自己資本利益率):23.49%
- 株価売上高倍率(PSR):5.21倍
- PER(株価収益率):30.27倍
- PBR(株価純資産倍率):6.80倍
(出典:楽天証券)
1株当たりデータ
- 1株当たり売上高:30.92ドル
- EPS(1株当たり純利益):5.47ドル
- 1株当たり純資産:24.04ドル
- 1株当たり現金および短期投資:9.57ドル
- 1株当たりキャッシュフロー:8.13ドル
- 1株当たり配当:3.98ドル
(出典:楽天証券)
業績推移(主な年度)
年度 | 売上高(百万ドル) | EPS(ドル) | 配当(ドル) |
---|---|---|---|
2017 | 71,890 | 6.04 | 3.15 |
2018 | 76,450 | 5.31 | 3.32 |
2019 | 81,581 | 5.70 | 3.54 |
2020 | 82,059 | 5.72 | 3.75 |
2021 | 82,584 | 5.47 | 3.98 |
2022(予想) | 91,295 | 7.84 | 4.19 |
(出典:楽天証券)
まとめ
近年はコロナワクチン事業で苦戦する場面も見られますが、ジョンソン・エンド・ジョンソンは依然として配当王、AAA格付け企業という強力なステータスを誇っています。
これからも長期保有を視野に、安定した成長と高い配当を享受できる企業として注目していきたいと考えています。