ルックスルー利益とは
ルックスルー利益とは、
伝説的投資家ウォーレン・バフェットが投資判断の際に重視している独自の指標です。
一般的な連結営業利益だけではなく、
巨大な株式投資による保留利益(企業が稼いだ内部留保)や、
その保留利益に将来課せられる税金負担分も考慮に入れたものです。
つまり、企業の時価評価や一時的な株価変動に左右されず、
本質的な資産価値・利益力を重視する考え方といえます。
この「ルックスルー利益」を把握することで、
保有している企業群がどれほどの実質的利益を生み出しているかを、
長期的な視点で俯瞰することが可能となります。
バフェットが重視するこの手法は、
一時的な株価急落に動揺せず、長期投資に集中するための強力なメンタル支柱となっています。
ルックスルー利益の計算方法
ルックスルー利益の求め方は非常にシンプルです。
ルックスルー利益 = EPS(1株あたり利益) × 保有株数
具体的には、
- 保有している各企業のEPS(1株あたり純利益)を調べる
- それぞれのEPSに保有株数を掛け算する
- 得られた各企業のルックスルー利益を合算する
このようにして、自身が保有しているポートフォリオ全体の
「本質的な年間稼ぎ出し利益」を把握できます。
重要なポイントは、売却益や株価変動による利益ではないということです。
あくまで、ビジネスとしてその企業がどれだけの利益を積み上げているかを見ているのです。
ルックスルー利益を重視するメリット
1.株価に惑わされない投資判断ができる
日々の株価の上下に一喜一憂することなく、
**「企業価値はしっかり積み上がっているか」**という本質を冷静に見極めることができます。
特に株式市場が暴落した際でも、
**「企業の実力自体は変わっていない」**と自信を持って保有を続けられるため、
精神的に非常に安定した投資スタイルを維持できます。
2.長期投資向きの指標である
ルックスルー利益は長期目線で企業価値を積み上げることを前提とした考え方です。
バフェット自身も、「最良の保有期間は永遠だ」と語っていますが、
このような長期的な資産形成において、
一時的な価格変動ではなく、企業の利益成長に焦点を当てる姿勢が極めて重要であることを示しています。
3.企業分析力が高まる
EPSや内部留保の増加をチェックする習慣が身につくため、
企業をよりビジネスオーナー視点で見る力が養われます。
単なる株価チャート分析ではなく、
本当に利益を生み出せる企業かどうかを見極める習慣が身につくことは、
投資家として非常に大きな財産となるでしょう。
まとめ|ルックスルー利益を活用して「真の資産形成」を目指す
今回は、ウォーレン・バフェットが重視する考え方、
ルックスルー利益について学びました。
ルックスルー利益は、
- EPS(1株あたり利益)
- 保有株数
- 税引き後利益成長
をベースに、企業の本質的価値を長期視点で捉えるための指標です。
短期的な株価変動に振り回されず、
堅実な資産形成を目指す投資家にとって非常に有効な考え方であり、
「株主として企業のオーナー意識を持つ」という本質的な投資姿勢を教えてくれます。
これからの投資人生においても、
ルックスルー利益という視点を持ちながら、
真の意味での資産形成を目指していきたいと考えています。