Excel VBA でフィルター設定を保持したまま全行を再表示する方法【ShowAllData の活用ガイド】

目次

概要

フィルターを設定したワークシートで一時的に全レコードを確認したい場合、AutoFilter を解除せずに行を再表示できると効率的です。Excel VBA には ShowAllData メソッドが用意されており、フィルター条件を維持したまま可視行を切り替えられます。本記事では、ワークシート全体・セル位置からの自動判定・テーブル(ListObject)単位と、三つの実用例を丁寧に解説いたします。


前提条件

項目内容
対応 ExcelMicrosoft 365 または 2016 以降
フィルターすでに AutoFilter が設定済みであること
マクロ設置先標準モジュール

サンプル 1:ワークシート全体で全行を再表示

Sub ShowAllRowsOnSheet()

    ' フィルター行が存在する場合のみ実行
    If ActiveSheet.FilterMode Or ActiveSheet.AutoFilterMode Then
        ActiveSheet.ShowAllData          ' 全行を再表示(フィルター設定は保持)
    Else
        MsgBox "このシートにはフィルターが設定されていません。", vbInformation
    End If

End Sub

ポイント

  • FilterMode は抽出条件があるかどうかを示し、AutoFilterMode はフィルター行の有無を示します。
  • メソッド実行後もフィルター矢印は残り、再度条件を設定する手間がかかりません。

サンプル 2:選択セルから所属テーブルを自動判定して全行表示

Sub ShowAllRowsInSelectedTable()

    Dim tbl As ListObject
    
    ' アクティブセルがテーブル内かどうか判定
    On Error Resume Next
    Set tbl = ActiveCell.ListObject
    On Error GoTo 0
    
    If tbl Is Nothing Then
        MsgBox "テーブル内のセルを選択してください。", vbExclamation
        Exit Sub
    End If
    
    ' フィルター行がある場合のみ実行
    If Not tbl.AutoFilter Is Nothing Then
        tbl.AutoFilter.ShowAllData
    End If

End Sub

ポイント

  • ActiveCell.ListObject により、カーソル位置から所属テーブルを自動取得します。
  • テーブルが複数存在するシートでも、選択位置で対象を切り替えられます。

サンプル 3:シート上のすべてのテーブルで全行を表示

Sub ShowAllRowsAllTables()

    Dim ws      As Worksheet
    Dim tblItem As ListObject
    
    Set ws = ActiveSheet
    
    For Each tblItem In ws.ListObjects
        If Not tblItem.AutoFilter Is Nothing Then
            tblItem.AutoFilter.ShowAllData
        End If
    Next tblItem

End Sub

ポイント

  • ListObjects コレクションを走査し、各テーブルに対して ShowAllData を実行します。
  • 大量のテーブルを配置したシートでも一括で可視行を戻せます。

よくある質問

質問回答
抽出条件を保持したまま再度絞り込みたい場合はどうすればよいですか。ShowAllData で全行を表示した後、再度 AutoFilter メソッドで条件を設定すると、スムーズに切替えできます。
フィルター矢印ごと削除したい場合は。ActiveSheet.AutoFilterMode = False を実行すると、フィルター行自体が解除されます。
行を再表示した後に対象範囲を再度ソートできますか。はい。ShowAllData 後に Sort メソッドを呼び出していただくと、フィルター設定を保持したまま並べ替えが可能です。

まとめ

ShowAllData を使用すると、フィルター設定を解除せずに全レコードを確認できるため、データ検証や一括編集の効率が向上します。ワークフローに合わせて「ワークシート全体」「セル位置からの自動判定」「テーブル一括処理」を使い分けると、さらに柔軟に作業を自動化できます。

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この記事を書いた人

私が勉強したこと、実践したこと、してることを書いているブログです。
主に資産運用について書いていたのですが、
最近はプログラミングに興味があるので、今はそればっかりです。

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