先日、「3884296727」という見慣れない番号から突然電話がかかってきました。市外局番のようにも見えず、国内の電話番号とは思えない桁数や形式だったため、少し不安になったのが正直なところです。
調べてみると、これは**VoIP(Voice over IP)**というインターネット回線を使った通話の可能性があることがわかりました。近年では、詐欺電話や営業電話にもVoIPが使われることが増えており、正しい知識が必要です。
本記事では、「VoIPとは何か」という基本から、その仕組み、メリット・デメリット、そしてセキュリティリスクへの対策までを丁寧に解説いたします。
VoIP(Voice over Internet Protocol)とは?
VoIPとは、「Voice over Internet Protocol」の略称で、音声をインターネット経由で送受信する通信技術のことを指します。従来の電話網(PSTN)とは異なり、データ通信と同じネットワークで音声を扱えるため、低コストかつ柔軟に通話を実現できるという特徴があります。
VoIPの仕組み
VoIPは以下のようなステップで通話を成立させます。
- 音声のデジタル変換
マイクで拾った音声をデジタルデータに変換します。 - 音声の圧縮・パケット化
データを圧縮し、小さな単位(パケット)に分割します。 - インターネット経由で送信
パケットがインターネットを通じて送られます。 - 相手側での復元
届いたパケットを元の音声に復元し、スピーカーから出力します。
この仕組みにより、インターネットが使える環境であれば、どこでも通話が可能になります。
VoIPのメリット
メリット | 内容 |
---|---|
通話コストの削減 | 国内外問わず、通話料金を大幅に抑えることができます。 |
導入が簡単 | ソフトウェアやスマートフォンアプリを使えば、専用機器がなくても利用可能です。 |
拡張性が高い | 音声通話だけでなく、チャットやビデオ会議機能も統合できます。 |
テレワークに最適 | 場所にとらわれず同じ番号で通話できるため、在宅勤務にも適しています。 |
VoIPのデメリット・注意点
デメリット | 内容 |
---|---|
インターネット依存 | 通話品質や安定性は回線状況に大きく左右されます。 |
停電時は利用不可 | 電力供給が止まると通話ができなくなる可能性があります。 |
緊急通報の制限 | 一部のVoIPサービスでは、110番や119番への発信ができない場合があります。 |
セキュリティリスク | 通話の盗聴や番号偽装(スプーフィング)など、インターネット特有のリスクがあります。 |
VoIPの主なセキュリティリスクと対策
リスク | 内容 | 対策 |
---|---|---|
通話の盗聴 | データが暗号化されていないと、第三者に傍受される可能性があります。 | 通話の暗号化(SIP-TLS、SRTP) |
番号偽装(スプーフィング) | 発信元番号を偽って詐欺電話をかける手口です。 | 正規プロバイダの利用、番号認証 |
不正アクセス・発信 | アカウント情報が漏れると、国際電話などへ勝手に発信される恐れがあります。 | 強固なパスワード、2要素認証の導入 |
サーバー攻撃 | VoIPサーバーに対して大量アクセスを行い、通話不能にさせる攻撃です。 | ファイアウォールや侵入検知システムの導入 |
怪しい番号からの着信にはどう対応すべきか
VoIPは便利な反面、発信者番号の偽装が容易なため、見知らぬ番号からの着信には注意が必要です。とくに国際番号や桁数が不自然な番号からの着信には、以下のように対応することをおすすめします。
- 折り返し電話をかけない(高額請求のリスクあり)
- 迷惑電話番号データベースで調べる
- 必要であれば着信拒否を設定する
- 事業者(キャリア)に照会する
まとめ
VoIPは、コスト削減や柔軟な通話環境を実現できる革新的な技術です。しかしながら、見知らぬ番号からの着信にVoIPが関わっている可能性がある以上、その仕組みやリスクを理解しておくことは現代の通信リテラシーの一部ともいえるでしょう。
安全な通話環境を維持するためにも、VoIPの特性を知り、信頼できる事業者のサービスを選び、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。