Linux環境でテキスト編集を行う際によく登場する「vi(ブイアイ)」と「vim(ヴィム)」ですが、両者の違いをご存知でしょうか。「viとvimは同じもの」と誤解されがちですが、実際には明確な違いが存在します。
本記事では、これからLinuxを学ぶ方やサーバー管理を始めた方に向けて、viとvimの違いを初心者にもわかりやすく、丁寧に解説いたします。
viとは
vi(ブイアイ)は、1970年代後半にUNIXの標準テキストエディタとして誕生しました。その名前は「Visual Editor」の略称で、当時のコマンドライン環境において視覚的な編集を可能にした、画期的なエディタです。
viの特徴
- 軽量で高速
- 最低限の機能に絞られている
- 多くのUNIX系システムで標準搭載
- 操作性はキーボード主体
現在でも多くのLinuxサーバーや組み込み機器に「vi」がインストールされています。ただし、実際には「vi」と入力しても、後述する「vim」が起動する環境も多いため、違いを正しく理解することが重要です。
vimとは
vim(ヴィム)は「Vi IMproved(改善されたvi)」の略で、1991年に登場したviの上位互換エディタです。オリジナルのviに現代的な機能を多数追加し、より快適なテキスト編集を可能にしています。
vimの特徴
- viの操作性を完全に再現
- マルチレベルのUndo(複数段階のやり直し)が可能
- シンタックスハイライト(色分け表示)対応
- スクロールバーやマウス操作(一部環境)
- プラグインによる機能拡張
- GUI版(gvim)も存在
- 多言語対応
Linuxの多くのディストリビューションでは、vi
コマンドを実行すると実際には vim
が起動する設定になっています。そのため、気付かずにvimを使っている方も少なくありません。
viとvimの違いを比較
項目 | vi | vim |
---|---|---|
起源 | UNIX伝統の標準エディタ | viを拡張した改善版 |
機能 | 最小限 | 多機能・プラグイン対応 |
Undo | 1回まで | 複数回可能 |
色分け表示 | なし | あり(シンタックスハイライト) |
マウス操作 | 基本なし | 環境によって可能 |
学習コスト | 低め | やや高いが高機能 |
結論:普段使いにはvimがおすすめ
サーバーや組み込み環境など、最小限の機能しか不要な場面ではviが便利です。しかし、プログラミングやスクリプト編集、複雑なファイル操作を快適に行いたい場合は、圧倒的にvimの方が適しています。
特に以下のような方にはvimをおすすめします。
- Linuxでの開発やサーバー運用を行う方
- 色分け表示や高度な編集機能を活用したい方
- viの基本操作に慣れて、さらに快適な環境を求める方
よくある疑問:viと入力するとvimが起動する理由
多くのLinux環境では、vi
コマンドが vim
へのシンボリックリンク(別名コマンド)として設定されています。これは、互換性を保ちつつ、vimの機能を標準的に使えるようにするための仕組みです。
ご自身の環境で確認するには、以下のコマンドを実行してみてください。
which vi
ls -l $(which vi)
実行結果に「vim」や「vim.basic」などが表示されれば、vi
は実際には vim
の別名であることがわかります。
まとめ
- vi はUNIX伝統の軽量テキストエディタ
- vim はviを大幅に機能拡張した上位互換エディタ
- 多くのLinuxでは
vi
コマンドが実質vim
を呼び出す - プログラミングや快適な編集にはvimが最適
Linux学習やサーバー管理をスムーズに進めるためにも、viとvimの違いを理解し、用途に応じて使い分けましょう。