はじめに
新しい Mac へ移行した途端、Final Cut Pro(以下 FCP)で外付け HDD に直接書き出すと処理が途中で止まり、エラーメッセージも一切表示されない――同じ悩みを抱える方は少なくありません。本記事では、筆者が遭遇した具体的な環境と試行手順、調査で分かった原因候補、そして当面の回避策までを丁寧にまとめます。
目次
1 環境情報
1-1 旧 Mac(問題なし)
- モデル:iMac Retina 5K 27-inch, 2019
- CPU:3 GHz 6コア Intel Core i5
- GPU:Radeon Pro 570X 4 GB
- メモリ:8 GB 2666 MHz DDR4
- OS:macOS Sequoia 15.3
- FCP バージョン:11.0.1
1-2 新 Mac(書き出し停止を確認)
- モデル:iMac 24-inch 2024
- チップ:Apple M4
- メモリ:16 GB
- OS:macOS Sequoia 15.2(購入時)→ 15.3 へ更新後も再現
- FCP バージョン:11.1
ポイント
旧 iMac(Intel + FCP 11.0.1)では同じ外付け HDD へ正常に書き出せたため、ハードディスク自体の故障ではないことを確認できました。
2 試行した対処内容
試行内容 | 結果 |
---|---|
外付け HDD を Mac OS 拡張(ジャーナリング)で初期化 | 症状変わらず |
都度 Mac を再起動 して書き出し | 症状変わらず |
FCP を再インストール(App Store から最新) | 症状変わらず |
FCP を旧版へダウングレード(旧 Mac からアプリをコピー) | 対象クリップが読み込めず失敗 |
新 Mac のソフトウェアアップデート(15.3 へ) | 症状改善せず |
3 Deep Research で判明した主な知見
3-1 同様の報告例
- Apple 公式フォーラムや Reddit で、FCP 11.1 + macOS 15.2〜15.3 環境において、外付けドライブへの書き出しが無言で停止する事例が複数報告されていました。
- 症状は「数十 % 進んだ段階で進捗バーが止まり、書き出し先フォルダに一時生成されたファイルが消える」という内容で共通していました。
3-2 疑われる技術的要因
- サンドボックス/TCC 権限バグ
- FCP 11.1 から App Sandbox が強化され、外付けボリュームへの書き込み権限が正しく継承されないことがあると推測されています。
- VideoToolbox エンコードプロセスのクラッシュ
- macOS 15 系で HEVC/H.264 のハードウェアエンコード処理が新実装になり、長時間書き出しでクラッシュ→FCP が拾えず無言停止する可能性が指摘されています。
- ドライブフォーマットとの相性
- 特に ExFAT フォーマットの外付けメディアで不具合が多く、APFS でも一部報告あり。Apple は APFS または Mac OS 拡張を推奨しています。
3-3 改善報告
- macOS 15.4 + FCP 11.1.2 環境で「無言停止が解消された」というユーザー報告が一部あります。ただし公式リリースノートに本件を明記した修正項目はまだありません。
4 結論
外付け HDD へ直接書き出すと処理が無言で停止する現象は、FCP 11.1 と macOS Sequoia 15.x の組み合わせで発生するソフトウェア的なバグの可能性が高いと判断しました。旧 Mac(Intel + FCP 11.0.1)で問題なく書き出せること、HDD を初期化しても再現すること、同様の報告が複数あることが根拠です。
5 当面の回避策
- 内蔵 SSD に一度書き出し、Finder で外付け HDD へ移動
- 内蔵ストレージが十分な容量を持つ場合、現状で最も確実なワークフローです。
- 書き出しコーデックを ProRes 422 に変更する
- エンコード負荷が下がるため、外付け直書き出しでも成功率が上がる場合があります。
- 次期アップデートを待つ
- macOS 15.4/FCP 11.1.2 以降で改善した報告があるため、アップデートが公開されたら適用し再テストしてください。
おわりに
高価な外付けストレージを活用できないのは大きなストレスですが、今のところは 「内蔵 SSD へ書き出した後にコピー」 という手順で運用を続けるのが最も実務的です。同じ症状に悩む方の参考になれば幸いです。今後アップデートで正式に修正されることを期待しつつ、進展があれば随時追記いたします。