概要
シリアル通信において「パリティ」は、データ通信の信頼性を確保するためのエラーチェックの手段です。特に、電子天秤などの精密機器をArduinoと接続する際、パリティ設定を適切に選択することは非常に重要です。今回は、電子天秤で使用されるEVEN、ODD、およびNONEという3つのパリティ設定について、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説します。また、文字化けの原因としてパリティ設定の不一致についても触れ、解決策を紹介します。
1. パリティとは?
パリティは、シリアル通信のエラーチェック手法の一つです。シリアルデータを送受信する際、パリティビットを使って送信データの整合性を確認します。パリティビットは、送信データに加えられ、受信側でチェックを行います。このビットを使うことで、データの転送中に誤ってビットが変わった場合にエラーを検出できるようにしています。
2. パリティの種類
シリアル通信でよく使用されるパリティ設定には、主に次の3つがあります。
- EVEN(偶数パリティ)
- ODD(奇数パリティ)
- NONE(パリティなし)
それぞれの設定について詳しく見ていきましょう。
3. EVENパリティ(偶数パリティ)
特徴:
- データビットの中で1のビットの数が偶数になるように、パリティビットを設定します。
- もしデータビットの1の数が奇数であれば、パリティビットは1となり、偶数になるように調整されます。
- 逆に、1の数がすでに偶数なら、パリティビットは0になります。
メリット:
- エラーチェック能力が向上:通信中に1ビットの誤りが発生した場合、受信側でエラーが検出できます。
- データの整合性が保証される:特に重要なデータが送信される場合、パリティを使うことでデータの信頼性を向上させることができます。
デメリット:
- 通信速度が若干低下:パリティビットを追加するため、1回のデータ転送あたりに必要なビット数が増え、通信速度が少しだけ低下します。
- 誤りの種類に制限:偶数パリティでは1ビットの誤りは検出できますが、2ビットの誤りを検出することはできません。
4. ODDパリティ(奇数パリティ)
特徴:
- データビットの中で1のビットの数が奇数になるように、パリティビットを設定します。
- もしデータビットの1の数が偶数であれば、パリティビットは1となり、奇数になるように調整されます。
- 逆に、1の数がすでに奇数なら、パリティビットは0になります。
メリット:
- 偶数パリティと同様にエラー検出:1ビットの誤りを検出する能力があります。
- データの整合性の確保:特に信頼性が求められる通信において、偶数パリティと同じようにデータの誤りをチェックできます。
デメリット:
- 偶数パリティと同じく通信速度が若干低下:パリティビットが必要となるため、通信速度にわずかな影響を与える可能性があります。
- 1ビット誤りしか検出できない:偶数パリティ同様、2ビット以上の誤りを検出できないという制約があります。
5. NONEパリティ(パリティなし)
特徴:
- パリティビットを使用しない設定です。つまり、データにはエラーチェック用のビットが追加されません。
メリット:
- 通信速度が速い:パリティビットを追加しないため、通信速度の低下がありません。データ転送がスムーズで高速になります。
- シンプルな設定:特に誤りが少ない場合や、通信の信頼性がすでに十分な場合にシンプルで扱いやすい設定です。
デメリット:
- エラーチェックがない:パリティビットを使用しないため、通信中にビット誤りが発生しても検出する手段がありません。特に長距離通信や不安定な環境では、エラーが無視されてしまいます。
- 誤り検出機能なし:データの正確性が保証されないため、精度が重要な場合(例えば電子天秤のような精密機器)には不向きです。
6. 文字化けの原因と解決法
文字化けの原因の一つとして、パリティ設定の不一致があります。シリアル通信では、パリティビットを使ってエラーチェックを行いますが、送信側と受信側でパリティ設定が一致していないと、誤ったデータが受信され、文字化けが発生することがあります。
例えば、電子天秤の設定がEVENパリティなのに、Arduino側がNONEパリティに設定されている場合、受信データのビットが誤って解釈され、文字化けが起こります。これは、パリティビットをどう処理するかで、データが正しく解析されないためです。
解決策としては、送信側(電子天秤)と受信側(Arduino)のパリティ設定を一致させることが必要です。例えば、どちらもNONEパリティに設定すれば、文字化けを防ぐことができます。
7. まとめ
パリティ設定 | メリット | デメリット |
---|---|---|
EVEN | 1ビットの誤りを検出可能、エラー検出能力が高い | 通信速度が若干低下、2ビット誤りの検出ができない |
ODD | 1ビットの誤りを検出可能、エラー検出能力が高い | 通信速度が若干低下、2ビット誤りの検出ができない |
NONE | 通信速度が速い、設定がシンプル | エラーチェックができない、誤り検出機能なし |
8. 結論
電子天秤とArduinoの接続において、パリティ設定は通信の信頼性に大きく影響します。EVENやODDはエラーチェックの機能を提供し、データの整合性を確保するために有用ですが、通信速度に少し影響があります。一方、NONEは最もシンプルで高速ですが、エラーを検出する能力がなく、データの信頼性が重要な場合には不向きです。
また、パリティ設定の不一致が文字化けの原因となることがあるため、送信側と受信側の設定を一致させることが重要です。
あなたのプロジェクトの要件に応じて、適切なパリティ設定を選択しましょう。信頼性を最優先する場合はEVENまたはODD、速度重視の場合はNONEが適しています。