Pythonでディレクトリを階層ごと作成する：os.makedirsの使い方とexist_okオプション

2025年11月30日

ファイルを出力する際、保存先のディレクトリ（フォルダ）がまだ存在しない場合、事前に作成しておく必要があります。

Pythonの標準ライブラリ os モジュールには、ディレクトリを作成するための関数として os.mkdir() と os.makedirs() の2つが用意されています。特に os.makedirs() は、深い階層のディレクトリを一括で作成できるため非常に便利です。

この記事では、os.makedirs() の基本的な使い方と、ディレクトリが既に存在する場合のエラー回避方法について解説します。

1. 深い階層を一気に作成する: `os.makedirs()`

os.makedirs() 関数を使用すると、指定したパスに含まれる途中のディレクトリ（親ディレクトリ）が存在しない場合でも、それらをすべて自動的に作成してくれます（再帰的な作成）。

構文:

import os

os.makedirs(作成したいパス)

具体的な使用例

「プロジェクト」フォルダの中に「データ」フォルダを作り、さらにその中に「ログ」フォルダを作る、というような深い階層を一度に作成します。

import os

# 作成したい階層構造のパス
# (カレントディレクトリの下に project/data/logs を作る)
log_dir_path = os.path.join("project", "data", "logs")

print(f"作成対象: {log_dir_path}")

try:
    # 階層ごと一括作成
    os.makedirs(log_dir_path)
    print("ディレクトリを作成しました。")
except FileExistsError:
    print("ディレクトリは既に存在します。")

実行結果: project フォルダ、その中の data フォルダ、さらにその中の logs フォルダが全て作成されます。

2. 既に存在する場合のエラーを防ぐ (`exist_ok=True`)

デフォルトでは、作成しようとしたディレクトリが既に存在していると、FileExistsError というエラーが発生してプログラムが停止します。

しかし、実務では「なければ作る、あれば何もしない（既存のものを使う）」という挙動が望ましいケースがほとんどです。

Python 3.2以降では、引数 exist_ok=True を指定することで、ディレクトリが既に存在していてもエラーにならず、そのまま処理を続行できるようになりました。

import os

# バックアップ用ディレクトリ
backup_dir = "backup_storage"

# exist_ok=True を指定
# 既にあってもエラーにならず、なければ新規作成される
os.makedirs(backup_dir, exist_ok=True)

print(f"'{backup_dir}' の準備が完了しました。")

このオプションを使うことで、try-except ブロックで FileExistsError を捕捉する必要がなくなり、コードが簡潔になります。

3. `os.mkdir()` との違い

似た名前の関数に os.mkdir() がありますが、こちらは**「1階層だけの作成」**に特化しています。

os.makedirs("a/b/c"): a も b も c も作ります。
os.mkdir("a/b/c"): 親ディレクトリである a/b が既に存在している必要があります。存在しない場合は FileNotFoundError になります。

import os

# 親ディレクトリがない状態で mkdir を使うとエラーになる例
target = os.path.join("new_folder", "sub_folder")

try:
    os.mkdir(target)
except FileNotFoundError:
    print("エラー: 親ディレクトリが存在しないため mkdir では作成できません。")