Webアプリケーション開発では、商品の合計金額を計算したり、平均点を算出したりと、さまざまな場面で「計算」が必要になります。PHPを使えば、まるで高機能な電卓のように、四則演算をはじめとする様々な計算を簡単に行うことができます。
今回は、PHPで計算を行うための基本的な記号である「算術演算子」の使い方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
PHPの基本的な算術演算子
まずは、基本となる5つの算術演算子を覚えましょう。小学校で習った四則演算の記号と少しだけ違うものがあるので、注意してください。
目的 | 演算子 | 例 | 意味 |
足し算 | + | $x + $y | x と y を足す |
引き算 | - | $x - $y | x から y を引く |
掛け算 | * | $x * $y | x と y を掛ける(※ × ではない) |
割り算 | / | $x / $y | x を y で割る(※ ÷ ではない) |
剰余 | % | $x % $y | x を y で割った余りを求める |
掛け算が *
(アスタリスク)、割り算が /
(スラッシュ)である点に注意しましょう。
計算結果を出力してみよう
実際に変数と算術演算子を使って計算し、echo
で結果を出力してみましょう。
<?php
// 商品の単価と個数を変数に代入
$price = 800;
$quantity = 4;
// 掛け算で合計金額を計算する
$total_price = $price * $quantity;
echo "合計金額は: " . $total_price . "円<br>"; // 合計金額は: 3200円
// 割り算で1人あたりの金額を計算する
$people = 2;
$price_per_person = $total_price / $people;
echo "1人あたり: " . $price_per_person . "円<br>"; // 1人あたり: 1600円
?>
このように、変数を使って計算することで、$price
や$quantity
の値が変わっても、自動的に正しい計算結果を得ることができます。
「余り」を求める剰余演算子 %
%
(パーセント)は、「剰余」を求めるための演算子です。剰余とは、割り算をしたときの「余り」のことです。
例えば、10 % 3
は、「10を3で割った余り」なので、結果は 1
になります。
この剰余演算子は、プログラミングでは意外と多くの場面で活躍します。
- ある数が偶数か奇数かを判定する(
$num % 2
の結果が0なら偶数) - 特定の間隔で処理を行う(3件ごとにデザインを変える、など)
<?php
$total_students = 25;
$students_per_group = 4;
// 25人を4人ずつのグループに分けたときの余りを計算
$remainder = $total_students % $students_per_group;
echo "25人を4人ずつのグループに分けると、" . $remainder . "人余ります。";
// 出力: 25人を4人ずつのグループに分けると、1人余ります。
計算の優先順位と ()
の使い方
PHPの計算には、数学と同じように優先順位があります。
- 高い:
*
(掛け算),/
(割り算),%
(剰余) - 低い:
+
(足し算),-
(引き算)
つまり、+
や -
よりも先に *
や /
が計算されます。
<?php
// 3 + 5 * 2 は、5 * 2 が先に計算される
$result = 3 + 5 * 2;
echo $result; // 13 (3 + 10)
もし、「3 + 5」を先に計算してほしい場合は、数学と同じように ()
(括弧)を使います。括弧で囲まれた部分が最優先で計算されます。
<?php
// (税抜価格 + オプション料金) * 1.1 のような計算
$base_price = 2000;
$option_price = 500;
$tax_rate = 1.1;
// (2000 + 500) * 1.1 を計算したい
$total_with_tax = ($base_price + $option_price) * $tax_rate;
echo "税込合計金額は " . $total_with_tax . "円です。";
// 出力: 税込合計金額は 2750円です。
複雑な計算を行う際は、意図した通りの順序で計算が行われるように、適切に ()
を使うことが非常に重要です。
⚠️ 注意:0での割り算 PHP 8以降では、数値を
0
で割る(/
または%
)コードを実行すると、プログラムが停止する致命的なエラー(DivisionByZeroError
)が発生します。割り算を行う際は、割る数が0
にならないように注意が必要です。
まとめ
今回は、PHPで計算を行うための基本となる「算術演算子」について学びました。
【ポイントの振り返り】
- 四則演算は
+
,-
,*
,/
を使う。 %
は割り算の余りを求める演算子。- 掛け算・割り算は、足し算・引き算より先に計算される。
- 計算順序を変えたいときは
()
を使う。
これらの算術演算子を使いこなすことで、プログラムは単なる情報の表示装置から、動的なデータ処理ツールへと進化します。まずは簡単な計算から試してみて、その動きに慣れていきましょう。