PHPでプログラミングをしていると、私たちは「文字」や「数字」など、さまざまな種類のデータを扱います。実はプログラムの世界では、これらのデータを正しく扱うために、それぞれの「種類」をきちんと区別する必要があります。
このデータの種類のことを「データ型」と呼びます。
今回は、PHPプログラミングの基礎となる、代表的な5つのデータ型について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
データ型とは?
データ型とは、そのデータが「どのような種類の情報か」を示すラベルのようなものです。
例えば、123
というデータがあったとき、これが「数字の123」なのか、それとも「”123″という文字」なのかで、プログラムの扱いは大きく変わります。
- 数字の
123
なら、足し算や引き算などの計算ができます。 - 文字の
"123"
なら、「ABC」のような他の文字と連結することはできますが、計算はできません。
このように、データ型を正しく理解することは、意図した通りにプログラムを動かし、予期せぬエラーを防ぐために非常に重要です。
var_dump()
で変数の型を調べてみよう
PHPには、変数の中身(値)とデータ型を詳しく表示してくれる var_dump()
という便利な関数があります。これからデータ型を学ぶ上で非常に役立つので、使い方を覚えておきましょう。
<?php
$greeting = "こんにちは";
var_dump($greeting);
このコードを実行すると、ブラウザには次のように表示されます。
string(15) "こんにちは"
これは、以下のような意味を表しています。
- string: データ型は文字列 (string) 型です。
- (15): データのサイズは15バイトです。(※UTF-8エンコーディングの場合、日本語1文字は3バイトで計算されます)
- “こんにちは”: 変数に入っている値です。
var_dump()
を使えば、変数の「健康診断」のように、その正体をいつでも確認できます。
PHPの代表的なデータ型を覚えよう
それでは、PHPでよく使われる基本的な5つのデータ型を見ていきましょう。
1. string (文字列型)
string
は、文字の集まりを表すデータ型です。「こんにちは」や「PHP入門」のような、文章や単語などがこれにあたります。値はダブルクォーテーション "
かシングルクォーテーション '
で囲みます。
<?php
$user_name = "山田 太郎";
$message = 'はじめまして!';
var_dump($user_name); // string(...) "山田 太郎"
2. integer (整数型)
integer
(int
と略されることも多い)は、小数点のない数字を表すデータ型です。10
や150
、-5
のような数値がこれにあたります。年齢や商品の個数など、きっかりした数を扱うときに使います。
<?php
$age = 30;
$item_count = 5;
var_dump($age); // int(30)
3. float (浮動小数点数型)
float
は、小数点を含む数字を表すデータ型です。3.14
や1.05
、-2.5
のような数値がこれにあたります。消費税率や平均点など、小数点以下の精度が必要な計算に使います。
<?php
$pi = 3.14;
$tax_rate = 1.1;
var_dump($tax_rate); // float(1.1)
4. boolean (真偽値・論理型)
boolean
(bool
と略されることも多い)は、「正しい(True)」か「間違い(False)」の2つの状態だけを表す、非常に特殊なデータ型です。
例えば、「ユーザーはログインしていますか?」という問いに対して、「はい(True)」か「いいえ(False)」で答えるような場面で使われます。条件によって処理を分ける「条件分岐」というプログラミングの重要な機能で活躍します。
<?php
$is_logged_in = true; // ログインしている状態
$has_error = false; // エラーがない状態
var_dump($is_logged_in); // bool(true)
5. NULL (ヌル型)
NULL
は、「何もない」という特別な状態を表すデータ型です。変数は用意したけれど、中身が空っぽであることを意図的に示したい場合に使います。値にはnull
(大文字・小文字は区別しない)が入ります。
<?php
// プロフィール画像がまだ設定されていない状態などを表す
$profile_image = null;
var_dump($profile_image); // NULL
まとめ
今回は、PHPで基本となる5つのデータ型を紹介しました。
データ型 | 説明 | 例 |
string | 文字列 | "こんにちは" , 'PHP' |
integer | 整数 | 100 , -5 |
float | 小数 | 3.14 , 9.8 |
boolean | 真偽値 | true , false |
NULL | 何も値がない状態 | null |
プログラミングを始めたばかりの頃は、あまり型を意識しないかもしれません。しかし、開発を進めていくと、「数字として計算したいのに、なぜか文字として扱われてしまう」といった問題に直面することがあります。
var_dump()
で変数の型を確認する習慣をつけながら、それぞれのデータ型が持つ役割を少しずつ理解していきましょう。