【C++】子クラスで親クラスのメンバ関数をオーバーライドする方法

2025年8月26日

はじめに

C++の継承では、子クラス（派生クラス）は親クラス（基底クラス）のメンバ関数を引き継ぎます。しかし、時には「親クラスの機能を、子クラス独自の処理に**上書き（変更）**したい」という場面があります。

このように、親クラスから継承したメンバ関数の処理内容を、子クラスで再定義することを「オーバーライド (Override)」と呼びます。オーバーライドは、子クラスのオブジェクトが、親クラスから引き継いだ機能に加えて、独自の振る舞いを持つことを可能にします。

この記事では、関数のオーバーライドの基本的な方法を、RPGのキャラクターを例に解説します。

メンバ関数をオーバーライドするサンプルコード

このコードは、Character（キャラクター）という親クラスと、それを継承した Player（プレイヤー）という子クラスを定義します。親クラスの displayInfo 関数を、子クラスでオーバーライドして、表示するメッセージを変更します。

完成コード

#include <iostream>
#include <string>

using namespace std;

// --- 親クラス（基底クラス） ---
class Character {
protected:
    string name = "名無し";
    int hp = 100;

public:
    void displayInfo() {
        cout << "--- キャラクター情報 ---" << endl;
        cout << "名前: " << name << endl;
        cout << "HP: " << hp << endl;
    }
    
    void setStats(string n, int h) {
        name = n;
        hp = h;
    }
};


// --- 子クラス（派生クラス） ---
class Player : public Character {
protected:
    int attackPower = 10;
public:
    // 親クラスのdisplayInfo関数をオーバーライド
    void displayInfo() {
        cout << "=== プレイヤー情報 ===" << endl;
        cout << "名前: " << name << endl;
        cout << "HP: " << hp << endl;
        cout << "攻撃力: " << attackPower << endl;
        cout << "====================" << endl;
    }
    
    void setAttackPower(int ap) {
        attackPower = ap;
    }
};

int main() {
    // 子クラスのオブジェクトを作成
    Player myPlayer;
    myPlayer.setStats("勇者", 150); // 親クラスから継承した関数
    myPlayer.setAttackPower(25);    // 子クラス独自の関数
    
    // オーバーライドされた関数を呼び出す
    myPlayer.displayInfo();
    
    return 0;
}

実行結果

=== プレイヤー情報 ===
名前: 勇者
HP: 150
攻撃力: 25
====================

コードの解説

`void Player::displayInfo()`

子クラスである Player の中で、親クラス Character の displayInfo と全く同じ関数名、引数、戻り値の型で関数を再定義しています。これがオーバーライドです。

main関数の中で myPlayer.displayInfo(); を呼び出すと、親クラスの displayInfo ではなく、子クラスの displayInfo が優先的に呼び出されます。これにより、親クラスのメンバ関数が持つ機能を、子クラスの独自の機能で上書きすることができます。