データ分析や数値計算を行う際、データの「大きさ」や「傾向」を知るために、絶対値や合計、最大値、最小値といった基本的な指標を求めることが頻繁にあります。
Pythonには、これらの計算を行うための便利な組み込み関数が標準で用意されています。
この記事では、abs(), sum(), max(), min() の4つの関数の使い方と、具体的な活用シーンについて解説します。
1. 絶対値を求める: abs()
abs() 関数は、数値の絶対値(0からの距離)を返します。引数が正の数の場合はそのまま、負の数の場合は正の数に変換して返します。
構文:
絶対値 = abs(数値)
具体的な使用例:誤差の計算
予測値と実測値のズレ(誤差)を計算する場合、単純に引き算をすると負の値になることがありますが、ズレの大きさだけを知りたい場合は絶対値を使用します。
# 予測値と実測値
predicted_val = 150
actual_val = 135
# 差分(単純な引き算)
diff = actual_val - predicted_val
print(f"単純な差: {diff}")
# 誤差(絶対値)
error_margin = abs(diff)
print(f"誤差の大きさ: {error_margin}")
実行結果:
単純な差: -15
誤差の大きさ: 15
2. 合計を求める: sum()
sum() 関数は、リストやタプルなどのイテラブル(数値の集まり)を受け取り、その要素の合計値を返します。
構文:
合計 = sum(リストなどのイテラブル)
具体的な使用例:月間売上の集計
1週間の売上データリストから、総売上を計算します。
# 1週間の売上データ(千円単位)
weekly_sales = [120, 150, 90, 200, 180, 250, 300]
# 合計を計算
total_sales = sum(weekly_sales)
print(f"週間売上データ: {weekly_sales}")
print(f"売上合計: {total_sales}千円")
実行結果:
週間売上データ: [120, 150, 90, 200, 180, 250, 300]
売上合計: 1290千円
3. 最大値・最小値を求める: max(), min()
max() 関数は最大の要素を、min() 関数は最小の要素を返します。リストを引数に渡すか、複数の引数を直接渡すことができます。
構文:
最大値 = max(リスト または 複数の数値)
最小値 = min(リスト または 複数の数値)
具体的な使用例:最高気温と最低気温
ある地点の気温データから、最高気温と最低気温を抽出します。
# 気温データ(摂氏)
temperatures = [18.5, 22.0, 16.8, 25.4, 19.1]
# 最大値と最小値を取得
max_temp = max(temperatures)
min_temp = min(temperatures)
print(f"観測データ: {temperatures}")
print(f"最高気温: {max_temp}度")
print(f"最低気温: {min_temp}度")
実行結果:
観測データ: [18.5, 22.0, 16.8, 25.4, 19.1]
最高気温: 25.4度
最低気温: 16.8度
応用:これらの関数を組み合わせる
これらの関数を組み合わせることで、「平均値」や「範囲(レンジ)」などの統計的な指標も簡単に計算できます。
# 平均値の計算(合計 / 要素数)
average_temp = sum(temperatures) / len(temperatures)
# 範囲の計算(最大値 - 最小値)
temp_range = max(temperatures) - min(temperatures)
print(f"平均気温: {average_temp:.1f}度")
print(f"気温差: {temp_range:.1f}度")
実行結果:
平均気温: 20.4度
気温差: 8.6度
まとめ
Pythonには数値データを扱うための基本的な関数が揃っています。
abs(x): 絶対値を求める(負の数を正の数にする)。sum(iterable): リストなどの合計を求める。max(iterable): 最大値を求める。min(iterable): 最小値を求める。
これらはデータ分析やアルゴリズム実装の基礎となる重要な関数です。
