Pythonにおいて、**文字列(str)**はプログラムで最もよく使われるデータ型の一つです。「こんにちは」といった挨拶や、ユーザーID、ファイル名、エラーメッセージなど、テキストデータを扱うために使用されます。
文字列は「文字のシーケンス(順序付けられた並び)」として扱われます。
この記事では、Pythonで文字列を作成する3つの基本的な方法と、その使い分けについて解説します。
1. シングルクォート (')
文字列を作成する最も基本的な方法は、テキストをシングルクォート(')で囲むことです。
Python
# シングルクォートで作成
file_name = 'report.pdf'
status_code = 'OK'
print(file_name)
実行結果:
report.pdf
2. ダブルクォート (")
ダブルクォート(")で囲んでも、シングルクォートと全く同じように文字列を作成できます。
Python
# ダブルクォートで作成
app_title = "Data Management Tool"
user_id = "user-001"
print(app_title)
実行結果:
Data Management Tool
シングルとダブルの使い分け
Pythonに2種類のクォートが用意されているのは、文字列の「中」にクォート自体を含めたい場合に便利だからです。
- 文字列の中に
"を含めたい場合は、全体を'で囲みます。 - 文字列の中に
'を含めたい場合は、全体を"で囲みます。
Python
# 1. ダブルクォート " を含む文字列
message_1 = '彼は "Hello!" と言った。'
print(message_1)
# 2. シングルクォート ' を含む文字列
message_2 = "It's a beautiful day."
print(message_2)
実行結果:
彼は "Hello!" と言った。
It's a beautiful day.
3. トリプルクォート (""" または ''')
3つ連続したクォート(""" または ''')でテキストを囲むと、複数行にわたる文字列をそのまま作成できます。
""" と ''' の機能は同じです。
Python
# トリプルダブルクォートで複数行の文字列を作成
sql_query = """
SELECT
id,
name,
email
FROM
users
WHERE
is_active = True;
"""
print(sql_query)
実行結果:
SELECT
id,
name,
email
FROM
users
WHERE
is_active = True;
改行やインデントが、記述した見たまま保持されるのが特徴です。
用途:Docstring(ドキュメント文字列)
トリプルクォートは、関数の説明文(Docstring)を記述する際の標準的な方法としても用いられます。
Python
def calculate_average(numbers):
"""
数値のリストを受け取り、その平均値を返す。
Args:
numbers (list): 数値のリスト
Returns:
float: 計算された平均値。リストが空の場合は 0.0 を返す。
"""
if not numbers:
return 0.0
return sum(numbers) / len(numbers)
# 関数の説明文を参照
help(calculate_average)
まとめ
Pythonの文字列(str)は、テキストデータを扱うための型です。
'Text'(シングルクォート): 基本的な文字列。"Text"(ダブルクォート): 基本的な文字列。'を含む文字列を作るときに便利。"""Multi-line"""(トリプルクォート): 複数行の文字列や、関数の説明文(Docstring)を作成する際に使用します。
これら3つの方法は、最終的に同じ str 型のオブジェクトを作成しますが、用途に応じて使い分けることでコードの可読性が向上します。
