目次
はじめに
C++でvector
などのコンテナを操作する際、「特定の値を持つ全ての要素を、別の値に置き換えたい」「特定の条件を満たす全ての要素を、別の値に置き換えたい」という場面は頻繁に発生します。
for
ループを書いて自力で実装することもできますが、C++の標準ライブラリ <algorithm>
には、このための専用関数が用意されています。
std::replace
: 特定の値に一致する要素を、新しい値に置き換える。std::replace_if
: ラムダ式などで指定した条件に一致する要素を、新しい値に置き換える。
この記事では、これら2つの関数を使って、コンテナの要素を安全かつ効率的に置換する方法を解説します。
replace
/ replace_if
を使ったサンプルコード
このコードは、vector
に格納された数値のリストに対して、「10
という値を全て99
に置き換える」処理と、「奇数の値を全て0
に置き換える」処理を、それぞれの関数を使って行います。
完成コード
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm> // replace, replace_if
using namespace std;
// vectorの内容を表示するヘルパー関数
void print_vector(const string& title, const vector<int>& vec) {
cout << title << ": { ";
for (int val : vec) {
cout << val << " ";
}
cout << "}" << endl;
}
int main() {
vector<int> data = {10, 25, 10, 40, 55};
print_vector("初期状態", data);
// --- 1. replace: 値が10の要素を、全て99に置き換える ---
replace(data.begin(), data.end(), 10, 99);
print_vector("replace後", data);
// --- 2. replace_if: 奇数の要素を、全て0に置き換える ---
replace_if(data.begin(), data.end(), [](int n){ return n % 2 != 0; }, 0);
print_vector("replace_if後", data);
return 0;
}
実行結果
初期状態: { 10 25 10 40 55 }
replace後: { 99 25 99 40 55 }
replace_if後: { 99 0 99 40 0 }
コードの解説
1. std::replace
replace(範囲の開始, 範囲の終了, 探す古い値, 新しい値);
- 機能: 指定された範囲内に、第3引数で指定した古い値と完全に一致する要素を全て探し出し、第4引数の新しい値に置き換えます。
2. std::replace_if
replace_if(範囲の開始, 範囲の終了, 条件, 新しい値);
- 機能: 指定された範囲内の各要素に対して、第3引数で指定した条件(述語)を適用し、その条件が
true
を返した全ての要素を、第4引数の新しい値に置き換えます。 [](int n){ return n % 2 != 0; }
: このラムダ式は、「int
型のn
を受け取り、もしn
が奇数ならtrue
を返す」という条件を定義しています。
まとめ
今回は、C++の <algorithm>
ライブラリが提供する、コンテナの要素を置換するためのstd::replace
とstd::replace_if
を解説しました。
std::replace
: 値で置換する。std::replace_if
: 条件で置換する。
手動でループを書いて値を書き換えるよりも、これらの標準アルゴリズム関数を使った方が、コードが簡潔で意図が明確になり、よりC++らしい書き方と言えます。