概要
三菱電機 FREQUPS(FW-S 系)で前面表示の「BYPASS」がオレンジ点灯している場合、UPS のインバータを介さずに商用電源をそのまま負荷へ供給する「バイパス運転」中です。バイパス運転では停電時にバッテリ給電へ自動切替されないため、重要負荷がある環境では通常運転(UPS 運転)へ戻す必要があります。
※「FW-SBT-1.0K」は交換用バッテリの品番である可能性が高いため、UPS 本体の型式(例:FW-S10-1.0K など)は前面や側面のラベルでご確認ください。
症状(今回のランプ状態)
- INPUT:緑点灯
- BYPASS:オレンジ点灯
- LOAD 1:緑点灯
- CHARGE 1・2・3:緑点灯
この表示は、入力は正常だが出力は「バイパス運転」で供給されていることを示します。
復旧手順(本体パネルのみで行う)
- 「INPUT」が緑点灯であることを確認します。
- 前面パネルの「UPS/BYPASS」ボタンを短く一度押します。
- 「BYPASS」(オレンジ)が消灯し、「UPS」(緑)が点灯へ切り替われば、通常運転への復帰完了です。
- 切り替わらない場合は、「ON/TEST」ボタンを約1秒押して UPS 自体を起動した後、あらためて「UPS/BYPASS」ボタンを押します。
うまく戻らないときのチェックリスト
- 過負荷・短絡の有無
一時的でも定格を超える負荷や短絡があると、UPS はバイパスに留まる場合があります。不要な機器を外す、あるいはブレーカや配線を点検します。 - 入力条件の確認
入力電圧・周波数が規定範囲にない場合や位相条件が不適合な場合、UPS 運転へ切り替わりません。 - 外付けの保守バイパス回路の影響
盤側に保守バイパス(例:SW1=保守バイパス、SW2=UPS 入力、SW3=出力)が組まれている構成では、スイッチ位置の不整合で復帰できないことがあります。盤の手順書どおり UPS 経路に戻した上で、本体パネルで切り替えてください。
仕組みとリスクの要点
- バイパス運転:商用電源を直接負荷へ供給するモード。
- リスク:停電時や電源異常時でもバッテリ給電へ移行しないため、無停電性が確保されません。重要負荷では速やかな復帰が必要です。
再発防止のために
- 負荷率の見直し
起動電流や断続的なピークを含めて、UPS 定格に余裕を持たせます。 - 標準操作の明文化
「UPS/BYPASS」ボタンの用途、異常時の一次切り分け手順、盤側スイッチの正しい切替順を手順書として整備します。 - 状態監視の活用
ログ取得やアラーム履歴の点検により、発生条件を早期に特定します。
よくある質問
Q. BYPASS が点灯しているのは故障でしょうか。
A. 故障表示ではなく運転モード表示です。ただし、過負荷や内部条件不良などが原因で意図せずバイパスに留まっている可能性があります。原因を確認し、問題がなければパネル操作で通常運転に戻せます。
Q. 型番が FW-SBT-1.0K と表示されています。問題はありますか。
A. それは交換用バッテリの型番である場合があります。UPS 本体の型式をラベルで確認し、運用や保守記録に正しい型番を記載してください。
まとめ
復帰しない場合は、過負荷・入力条件・保守バイパス回路の各要因を順に確認してください。
「BYPASS(オレンジ)点灯」はバイパス運転中のサインであり、無停電ではありません。
入力が正常で警報がなければ、「UPS/BYPASS」ボタン短押しで「UPS(緑)」へ復帰できます。