はじめに
Excelのシート上に配置できる「フォームコントロール」のコンボボックス(VBA上では DropDown
オブジェクト)は、省スペースでユーザーに選択肢を提示できる便利なコントロールです。
VBAでこのコンボボックスを自在に操るためには、その主要なプロパティを理解することが不可欠です。この記事では、シート上のコンボボックスを操作する上で最も重要となる、以下の4つのプロパティについて、それぞれの役割と使い方をサンプルコード付きで分かりやすく解説します。
- List: ドロップダウンの項目を設定する
- Value / ListIndex: 選択された項目の番号を取得・設定する
- DropDownLines: ドロップダウンリストに表示する行数を設定する
1. List
プロパティ
ドロップダウンリストに表示する項目のリストを設定、または取得します。VBAの配列を直接代入するのが最も簡単な設定方法です。
サンプルコード
Sub PopulateComboBox()
Dim targetDropDown As DropDown
' "CategoryDropDown" という名前のコンボボックスを取得
Set targetDropDown = ActiveSheet.DropDowns("CategoryDropDown")
' Array関数で作成した配列を .List プロパティに代入
targetDropDown.List = Array("カテゴリA", "カテゴリB", "カテゴリC", "カテゴリD")
End Sub
解説: Array
関数で作成した配列を .List
プロパティに代入するだけで、リストの項目が一括で設定されます。
2. Value
/ ListIndex
プロパティ
ユーザーが選択している項目のインデックス番号(1始まり)を取得、または設定します。
.Value
と.ListIndex
は、シート上のコンボボックスにおいては同じ働きをします。どちらを使っても構いません。- 何も選択されていない場合は
0
を返します。
サンプルコード
Sub SelectAndGetComboBoxItem()
Dim targetDropDown As DropDown
Set targetDropDown = ActiveSheet.DropDowns("CategoryDropDown")
' 3番目の項目(カテゴリC)を選択状態にする
targetDropDown.Value = 3
' 現在選択されている項目のインデックス番号を取得
MsgBox targetDropDown.ListIndex & "番目の項目が選択されています。"
End Sub
注意: ユーザーフォームのコンボボックスでは ListIndex
は 0
から始まりますが、シート上のコンボボックスでは 1
から始まるという違いがあります。
3. DropDownLines
プロパティ
ユーザーがドロップダウンリストをクリックした際に、一度に表示される項目の行数を設定します。
サンプルコード
Sub SetDropDownLines()
Dim targetDropDown As DropDown
Set targetDropDown = ActiveSheet.DropDowns("CategoryDropDown")
' ドロップダウンリストに8行表示するように設定
targetDropDown.DropDownLines = 8
End Sub
解説: デフォルトでは8行になっています。リストの項目数に合わせてこの値を調整することで、スクロールの手間を減らし、ユーザーにとって見やすいリストを提供できます。
まとめ
今回は、シート上のコンボボックス(ドロップダウン)をVBAで操作するための主要なプロパティを解説しました。
.List
:Array
を使って選択肢のリストを設定する。.Value
または.ListIndex
: 選択されている項目の番号(1始まり)を操作する。.DropDownLines
: リストの表示行数を調整する。
これらのプロパティを組み合わせることで、コンボボックスの内容を動的に変更したり、ユーザーの選択に応じた処理を実装したりと、インタラクティブなシートを作成することが可能になります。