スライサーは、Excelのテーブルやピボットテーブルに対して視覚的にフィルタをかけられる便利な機能です。
VBAを活用すれば、スライサーを自動で追加・削除・再配置することも可能です。
本記事では、VBAによってスライサーを設定・消去する手順を、具体的なコード付きでご紹介いたします。
目次
想定される活用シーン
- 毎月異なるレイアウトの帳票にスライサーを自動挿入したい。
- スライサー付きレポートをVBAで一括生成したい。
- ユーザーが使用後、スライサーを自動で削除・初期化したい。
スライサーを設定するVBAコード
以下は、指定したテーブルに対して「担当者」フィールドのスライサーを作成する処理です。
Sub AddSlicerToTable()
Dim salesTable As ListObject
Dim displayArea As Range
Dim slicerCache As SlicerCache
Dim slicerObj As Slicer
' テーブルと配置場所の指定
Set salesTable = ActiveSheet.ListObjects("売上一覧")
Set displayArea = Range("J2:L10")
' スライサーキャッシュを作成
Set slicerCache = ThisWorkbook.SlicerCaches.Add2(salesTable, "担当者")
' スライサーオブジェクトの作成
Set slicerObj = slicerCache.Slicers.Add( _
ActiveSheet, , "担当者", _
Top:=displayArea.Top, Left:=displayArea.Left, _
Width:=displayArea.Width, Height:=displayArea.Height)
' テーブルの先頭セルを選択(補助処理)
salesTable.Range.Cells(1).Select
End Sub
スライサーをすべて削除するVBAコード
以下は、ブック内のすべてのスライサーを削除する処理です。
Sub DeleteAllSlicers()
Dim sCache As SlicerCache
For Each sCache In ThisWorkbook.SlicerCaches
With sCache
.ClearAllFilters
.Delete
End With
Next
End Sub
補足:複数スライサーを自動配置する応用例
複数フィールドに対してスライサーを設置する場合も、ループ処理で簡単に実装できます。
Dim fieldName As Variant
For Each fieldName In Array("担当者", "地域", "分類")
ThisWorkbook.SlicerCaches.Add2(salesTable, fieldName). _
Slicers.Add ActiveSheet
Next
注意点と補足情報
項目 | 説明 |
---|---|
SlicerCaches.Add2 | テーブルに対するスライサーキャッシュを新規作成します。 |
.Slicers.Add | 指定のシートと位置にスライサーを配置します。 |
.Delete | スライサーとそのキャッシュを完全に削除します。 |
名前の重複 | すでに同名のスライサーがある場合はエラーになります。 |
まとめ
Excel VBAでスライサーを設定・消去することで、レポート自動生成やデータ可視化のインターフェースを柔軟に制御できます。
特定フィールドへのフィルタを簡単にユーザーに提供できるため、データ分析や操作性向上に大いに役立ちます。