Excel VBAでスピル数式の結果セル範囲を取得する方法|SpillingToRangeと「#」記法の違い

Excel 365以降で導入されたスピル(Spill)数式では、1つのセルに入力された数式が、複数のセルに自動的に展開されます。
この展開された結果セル範囲を、VBAを使って正確に取得したいというニーズは多く、特に動的なデータ処理や構造の可視化時に役立ちます。

本記事では、VBAを用いてスピル数式の出力先範囲を取得する方法を2通りご紹介いたします。


目次

想定される用途

  • スピル数式の結果として展開されたセル範囲を自動で検出したい。
  • 結果範囲に書式や枠線を適用したい。
  • スピル数式の構造をVBAで動的に把握したい。

使用するセル構成の例

たとえばセル D3 に以下のようなスピル数式が入力されているとします:

=SEQUENCE(3,2)

この数式は、3行2列の配列(1~6)を生成し、セル D3:E5 に展開されます。


VBAコードの例

Sub GetSpillRange()

    Dim baseCell As Range
    Set baseCell = Range("D3")

    ' SpillingToRangeプロパティで取得
    MsgBox "Spill結果の範囲:" & baseCell.SpillingToRange.Address, vbInformation

    ' 「#」記号を使った参照で取得
    MsgBox "スピル記号参照での範囲:" & Range("D3#").Address, vbInformation

End Sub

解説:2つの方法の違い

方法内容利用可否
.SpillingToRangeスピル結果が展開されているセル範囲をVBAから直接取得する方法です。Excel 365以上のみ
Range("セル#")スピル記号(#)を用いた構文で結果範囲を参照する方法です。Excel 365以上のみ

どちらも同じ範囲(スピル結果のセル範囲)を返しますが、構文としての用途や可読性の観点から使い分けが可能です。


注意点

  • .SpillingToRangeRange("A1#")Excel 365以降の機能です。旧バージョンでは使用できません。
  • スピル元セルに数式が存在しない場合、これらの構文はエラーを返します。HasSpillで事前チェックすると安全です。

応用例

  • baseCell.SpillingToRange.Interior.Color = RGB(255, 230, 180) のように、スピル範囲全体に色を付ける。
  • スピル範囲の値を別のワークシートにコピー。
  • スピル範囲に枠線・条件付き書式を一括適用。

まとめ

スピル数式の出力範囲をVBAで取得するには、.SpillingToRangeプロパティまたは#記法による範囲参照が非常に便利です。
これらを活用すれば、動的に変化するスピル範囲を正確に捉え、自動処理や装飾、チェック作業を柔軟に実装することができます。

動的配列がますます使われる現代のExcel環境において、スピルの取り扱いをVBAでもマスターしておくことは、大きな強みとなるでしょう。

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この記事を書いた人

私が勉強したこと、実践したこと、してることを書いているブログです。
主に資産運用について書いていたのですが、
最近はプログラミングに興味があるので、今はそればっかりです。

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