Kali Linuxは、セキュリティ検証やペネトレーションテストで広く使用されている人気のLinuxディストリビューションです。しかし、MacBook(Intelチップ搭載モデル)にKali Linuxをインストールした場合、日本語キーボード配列や日本語入力が正しく動作しないことがあります。
本記事では、MacBook Air(Intelチップ)にKali Linuxをインストールした環境で、日本語キーボードの設定と、日本語入力(Mozc)を有効化する手順を、ターミナル操作のみでわかりやすく解説いたします。
目次
- はじめに
- 必要なパッケージのインストール
- fcitxとMozcによる日本語入力環境の構築
- 自動起動と永続設定の方法
- キーボード配列の確認と変更
- よくあるトラブルと対処法
- まとめ
はじめに
MacBook Air(Intelモデル)にKali Linuxをインストールすると、日本語環境が完全には整っていないことが多く、以下の問題が発生する場合があります。
- 日本語キーボード配列(JIS配列)が正しく認識されない
- 日本語入力(かな漢字変換)ができない
- 毎回手動で設定をし直す必要がある
以下の手順を実施することで、これらの問題を解消し、快適な日本語入力環境を構築できます。
必要なパッケージのインストール
まずは、日本語フォントと日本語入力に必要なパッケージをインストールします。
ターミナルで以下を実行してください。
sudo apt update
sudo apt install fonts-noto-cjk fonts-ipafont fcitx fcitx-mozc fcitx-config-gtk fcitx-ui-classic
このコマンドでは、以下の内容がインストールされます。
- 日本語フォント(Noto CJK、IPAフォント)
- 入力メソッドフレームワーク(fcitx)
- 日本語入力エンジン(Mozc)
- fcitx設定ツールとUI
fcitxとMozcによる日本語入力環境の構築
fcitxの自動起動設定
Kali Linux起動時にfcitxが自動で起動するよう、以下のコマンドで設定を行います。
cat <<EOF >> ~/.xprofile
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS="@im=fcitx"
fcitx &
EOF
.xprofile
は、Xセッション起動時に自動で読み込まれる設定ファイルです。この設定により、毎回手動でfcitxを起動する必要がなくなります。
キーボード配列の確認と変更
日本語キーボード(JIS配列)を正しく設定するには、以下のコマンドを実行してください。
sudo dpkg-reconfigure keyboard-configuration
表示されるメニューで、以下のように選択します。
- キーボードの種類 →
MacBook/MacBook Pro (Intl)
またはApple Aluminium Keyboard (JIS)
- キーボードレイアウト →
Japanese
設定後、以下のコマンドで変更を反映します。
sudo setupcon
日本語入力の有効化と切り替え方法
fcitxとMozcの準備が整ったら、以下のコマンドで設定ツールを起動します。
fcitx-configtool
設定画面で次の手順を行ってください。
- 「入力メソッド」タブを開く
Mozc
を追加Mozc
をリストの先頭に移動- 必要に応じて、
fcitx-keyboard-jp
も追加
日本語入力の切り替えキー
デフォルトでは以下のショートカットキーで切り替えが可能です。
Ctrl + Space
その他、お好みに合わせて変更もできます。
よくあるトラブルと対処法
fcitxが起動していない場合
ターミナルで以下を実行し、手動で起動してください。
fcitx &
インジケーター(地球マーク)が表示されない場合
以下をインストールしてください。
sudo apt install fcitx-ui-classic
再起動しても設定が反映されない場合
.xprofile
が正しく読み込まれていない可能性があります。その場合、以下も追記してください。
echo '[ -f ~/.xprofile ] && source ~/.xprofile' >> ~/.bash_profile
まとめ
本記事の手順を実施することで、以下の状態を実現できます。
- Kali Linux(MacBook Intelモデル)で日本語キーボード配列(JIS)の正確な認識
- Mozcを使った日本語入力の安定動作
- 起動時に自動で日本語入力が有効になる
Kali Linuxを日本語環境で快適に利用したい方は、ぜひ本記事を参考に設定をお試しください。