Raspberry Pi 5 が起動しないときの最終手段 ― EEPROM ブートローダー復旧と故障判定

目次

背景と症状

sudo apt upgrade 実行中に電源が遮断され、再起動後は 赤 LED が点灯したまま、緑 LED が一度も点滅せず HDMI 出力も「no signal」のままという状況が発生しました。SD カードを新規イメージで書き直しても変化がなく、一般的なソフトウェア障害より EEPROM(SPI フラッシュ)に格納されたブートローダーの破損 が疑われます。


原因の切り分け

  1. 電源
    公式 27 W 電源を用いても症状が続くことを確認しました。
  2. メディア
    複数の新品 microSD カードで Raspberry Pi Imager の検証付き書き込みを実施しても変化なし。
  3. ケーブル・周辺機器
    HDMI ケーブルを交換し、すべての周辺機器を外した状態でも改善せず。

これにより、本体側(SoC か SPI フラッシュ)のハード障害 にほぼ限定されました。


EEPROM ブートローダー復旧手順

1. 復旧用 microSD カードの作成

  • Raspberry Pi Imager を起動し、
    1. 「Misc utility images」
    2. 「Bootloader (Pi 5 family)」
    3. 「SD card boot」
      を順に選択して書き込みます。

2. Pi 5 への適用

  1. Pi 5 の電源を切り、すべてのメディアを取り外します。
  2. 復旧用 microSD カードのみを装着します。
  3. 電源を投入し、緑 LED が数秒点灯後に高速点滅→安定点滅へ変化するかを 1 分間観察します。成功すれば自動的に EEPROM が書き換えられます。

復旧後の確認

復旧 SD カードを抜き、通常運用の OS 入り SD カードを挿入して再起動します。正常起動した場合は次のコマンドでファームウェアを最新化してください。

sudo apt update
sudo apt full-upgrade
sudo rpi-eeprom-update -a
sudo reboot

それでも起動しない場合の判断

  • 緑 LED が一度も点滅しない
  • HDMI 診断画面が表示されない
  • 複数枚の新規 microSD で同じ症状

これらがそろう場合、基板側の故障 の可能性が高く、ユーザーでの復旧は現実的ではありません。購入店または Raspberry Pi サポートへ交換・修理を依頼してください。


まとめ

  1. 赤 LED 固定で起動しない場合は、まず EEPROM 復旧用 SD カード を作成してブートローダーを書き直します。
  2. 復旧後に OS と EEPROM を最新状態に保ちます。
  3. 復旧手順を複数回・複数カードで試しても改善しなければ、本体ハード障害と判断しサポートへ依頼します。

今回の事例ではすべての切り分けを行った結果、Raspberry Pi 5 本体故障 に至りました。突然の電源断が発端でしたので、今後は無停電電源装置(UPS)の導入や安全な電源環境の整備が再発防止策となります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

私が勉強したこと、実践したこと、してることを書いているブログです。
主に資産運用について書いていたのですが、
最近はプログラミングに興味があるので、今はそればっかりです。

目次