春になると、日本では多くの人が スギ花粉 による花粉症に悩まされます。しかし、スギの木を見ても、桜や梅のような花は見当たりません。「スギには花がないのに、どうして花粉を飛ばすの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、スギにも 花 はあります。ただし、私たちが普段イメージするような 花びらのある花ではなく、小さな雄花(おばな)と雌花(めばな)が存在 します。この記事では、スギの花の構造や花粉が飛ぶ仕組みについて詳しく解説します。
スギ花粉の飛散時期と特徴
スギ花粉は 2月から4月 にかけて多く飛散します。地域によって異なりますが、関東や関西では 2月中旬から4月上旬 がピークで、東北地方では少し遅れてピークを迎えます。
また、スギ花粉の時期が終わると、4月から5月にかけてヒノキ花粉 が飛散します。スギ花粉とヒノキ花粉の両方にアレルギーがある人は、春の間ずっと症状が続くこともあります。
スギには花がある?花粉はどこから飛ぶのか?
スギの木には、目立つ花はありませんが、雄花(おばな)と雌花(めばな) という花があります。
スギの雄花と雌花の特徴
- 雄花(おばな)
スギ花粉を飛ばすのはこの雄花です。見た目は茶色く、小さな球状で、松ぼっくりを小さくしたような形をしています。枝の先にたくさん集まって付き、春になると乾燥して大量の花粉を放出します。 - 雌花(めばな)
受粉した後に種を作るのが雌花です。雄花よりも目立たず、小さな緑色の突起のような形をしています。
スギの雄花は 花びらがなく地味な見た目 のため、遠くから見ると木に「花がない」と思われがちです。しかし、春になると大量の花粉を飛ばしているのは、この雄花の役割なのです。
なぜスギ花粉はこんなに多いのか?
スギが大量に花粉を飛ばす理由のひとつは、スギが風媒花(ふうばいか)だから です。
スギの受粉は、虫ではなく 風によって花粉を運ぶ ことで行われます。そのため、確実に受粉できるように 膨大な量の花粉を飛ばす 必要があります。例えば、桜や梅のような虫媒花(ちゅうばいか)は、花びらで虫を引き寄せて花粉を運んでもらいますが、スギにはそのような仕組みがないため、風に頼るしかありません。
さらに、日本では スギの植林 が進んだことも花粉の増加に影響しています。戦後、木材供給のためにスギが大量に植えられました。その結果、現在では多くのスギが成長し、花粉を飛ばすようになっています。
スギは 約20~30年 で花粉を作るようになるため、過去に植えられたスギが毎年、大量の花粉を放出し続けているのです。
まとめ
スギには目立つ花がないように見えますが、実際には 雄花と雌花があり、特に雄花が大量の花粉を飛ばします。スギは 風媒花 であるため、虫に頼らず 風で受粉する仕組み になっており、そのために 膨大な量の花粉を放出 します。
また、日本では戦後の植林政策によってスギの木が大量に植えられ、現在も多くのスギ花粉が飛散する状況が続いています。スギ花粉の多さには、こうした 自然の仕組みと人間の活動 が関係しているのです。
「スギには花がないのに、どうして花粉を飛ばすの?」という疑問の答えは、スギの花は目立たないだけで確かに存在し、風を利用するために大量の花粉を飛ばしている ということでした。