プログラムを書く際、変数名はコードの可読性に大きな影響を与えます。多くのプログラマーは意味が明確で分かりやすい変数名を付けることを意識しますが、時には**「1文字の変数名」**を使うこともあります。特に、特定のプログラミング言語では 「特定の1文字変数がよく使われる」 という傾向が見られます。
本記事では、JavaScript、Perl、C 言語においてよく使用される1文字変数とその理由について詳しく解説します。
JavaScript でよく使われる 1文字変数
JavaScript では、i
、e
、d
といった 1文字の変数名が頻繁に登場します。それぞれの意味を見てみましょう。
1. i
(カウンター変数)
i
は 「index(インデックス)」 の略として使われることが多く、ループ処理のカウンターとして定番の変数名です。
例
for (let i = 0; i < 10; i++) {
console.log(i);
}
i
の次にj
、k
という変数が使われることも多いですが、これは数学(特に線形代数)で 添え字にi, j, k
を使う習慣 から来ています。
2. e
(イベントオブジェクト)
e
は 「event(イベント)」 の略で、イベントハンドラーの引数として広く使われます。
例
document.addEventListener("click", function(e) {
console.log(e.target);
});
e
の代わりにevent
を使うことも可能ですが、省略してe
を使うのが一般的 です。
3. d
(データ)
d
は 「data(データ)」 の略で、API からのレスポンスデータを受け取る変数として使われることが多いです。
例
fetch("https://api.example.com/data")
.then(response => response.json())
.then(d => console.log(d));
- JavaScript では
data
よりも 短縮形のd
を使うことが多い ですが、可読性のためにdata
を使うケースもあります。
Perl でよく使われる 1文字変数
Perl では v
という 1文字変数が頻繁に使われます。他の言語ではあまり見かけないため、少し特殊な特徴です。
1. v
(値を表す変数)
Perl では v
は 「value(値)」 を意味し、リストやハッシュの要素を格納する変数として使われることが多いです。
例(配列のループ)
my @array = (10, 20, 30);
foreach my $v (@array) {
print "$v\n";
}
例(ハッシュのループ)
my %hash = (apple => 'red', banana => 'yellow');
while (my ($k, $v) = each %hash) {
print "$k is $v\n";
}
- キー
k
(key)と値v
(value)の組み合わせ が定番の書き方として使われています。
2. v
の普及理由
- Perl ではハッシュ(連想配列)がよく使われる ため、
v
(value)を示す変数が頻繁に登場する。 - デフォルト変数
$_
を避けるため、v
を明示的に使う ことが多い。 - Perl のバージョン表記 (
v5.10
など) にv
が使われるため、親しみやすい。
C 言語でよく使われる 1文字変数
C 言語では p
という 1文字変数が頻繁に使われます。これは他の言語ではあまり見られない特徴です。
1. p
(ポインタを表す変数)
C 言語では ポインタ(pointer
)を多用するため、p
がポインタ変数として広く使われます。
例
int array[] = {10, 20, 30};
int *p = array; // 配列の先頭を指すポインタ
printf("%d\n", *p); // 10
p++; // 次の要素へ移動
printf("%d\n", *p); // 20
p
は「ポインタであることが直感的にわかる」ため、多くの C プログラマーが使用。
2. p
の普及理由
- C 言語はポインタを多用するため、ポインタ変数を
p
で表すことが一般的になった。 i, j, k
(ループ変数)と区別しやすいため、ポインタにはp
を使うのが自然。- C はコードの簡潔さを重視するため、短い
p
を使うことが好まれる。
例(メモリ管理での p
の使用)
int *p = malloc(sizeof(int) * 3);
if (p == NULL) return 1;
p[0] = 10; p[1] = 20; p[2] = 30;
printf("%d %d %d\n", p[0], p[1], p[2]);
free(p);
p
はptr
より短く、C 言語のスタイルに適している。
まとめ
各言語で特定の 1文字変数がよく使われるのには、明確な理由があります。
言語 | 変数 | 意味 | 用途 |
---|---|---|---|
JavaScript | i | index | ループカウンタ |
JavaScript | e | event | イベントオブジェクト |
JavaScript | d | data | データオブジェクト |
Perl | v | value | 配列・ハッシュの値 |
C 言語 | p | pointer | ポインタ変数 |
各言語には 「その言語特有のコーディング文化」 があり、それが 1文字変数の命名にも表れています。1文字変数はシンプルで書きやすい反面、可読性が低くなることもあるため、適切に使い分けることが重要 です。