はじめに
プログラミングを学び始めると、たくさんのデータを扱いたくなる場面が出てきます。例えば、「5人の生徒のテストの点数」を管理したい場合、どうしますか?
int score1 = 78;
int score2 = 92;
int score3 = 55;
int score4 = 80;
int score5 = 64;
このように、データの数だけ変数を用意するのは大変ですし、管理も面倒です。こんなときに役立つのが、今回解説する「配列 (array)」という仕組みです。配列を使えば、複数のデータを一つの名前でまとめてスマートに扱うことができます。
配列とは? たくさんのデータをまとめる箱
配列をイメージするなら、「連番が振られたロッカー」や「連結された箱」を思い浮かべると分かりやすいです。
配列には、データを格納する一つ一つの「箱」と、その箱の場所を示す「番号」があります。
- 要素 (element): 配列の一つ一つの「箱」に格納されるデータのこと。(例:
78点、92点…) - 添字 (index): それぞれの「箱」に割り振られた通し番号のこと。
ここで非常に重要なルールがあります。それは、添字は「0」から始まるということです。5つのデータを持つ配列の場合、添字は0, 1, 2, 3, 4となります。
配列の基本的な使い方
配列の使い方は、大きく分けて「宣言」「代入」「参照」の3ステップです。
1. 配列を準備する(宣言)
まず、「こういう配列を使いますよ」とコンピューターに知らせる「宣言」を行います。
書式: データ型 配列名[要素数];
// int型のデータを5個格納できる「score」という名前の配列を準備
int score[5];
これで、int型のデータを5つ分まとめて入れておける score という名前のロッカーが用意できました。
2. 配列にデータを入れる(代入)
次に、用意した配列の各要素にデータを入れていきます。どの箱に入れるかは、[ ]の中に添字を指定して決めます。
score[0] = 78; // 0番目の箱(最初の箱)に78を代入
score[1] = 92; // 1番目の箱に92を代入
score[2] = 55;
score[3] = 80;
score[4] = 64; // 4番目の箱(最後の箱)に64を代入
3. 配列のデータを取り出す(参照)
データを取り出すときも、同じように添字で場所を指定します。
// 2番目の要素(3番目の人の点数)を表示する
cout << score[2]; // 画面に「55」と表示される
実践コード:配列とfor文の組み合わせ
配列の大きな利点は、for文などの繰り返し処理と組み合わせることで、すべての要素を効率的に扱える点にあります。
以下のコードは、5人分の点数を配列に格納し、for文を使って順番に表示するプログラムです。
#include <iostream>
using namespace std;
int main()
{
// int型の要素を5つ持つ配列を宣言
int score[5];
// 各要素に点数を代入
score[0] = 78;
score[1] = 92;
score[2] = 55;
score[3] = 80;
score[4] = 64;
// for文を使って、配列のすべての要素を順番に表示する
for (int i = 0; i < 5; i++) {
// iが0, 1, 2, 3, 4と変化するのを利用して、全要素にアクセス
cout << i + 1 << "人目の点数は" << score[i] << "点です。\n";
}
return 0;
}
コードの解説
for (int i = 0; i < 5; i++) の部分で、変数 i の値が 0 から 4 まで一つずつ増えていきます。この i をそのまま配列の添字 score[i] として使うことで、score[0], score[1], score[2]… と順番にすべての要素にアクセスできるのです。
配列の初期化という便利な方法
ちなみに、配列は宣言と同時に値を設定(初期化)することもできます。この書き方の方がシンプルでよく使われます。
int score[5] = {78, 92, 55, 80, 64};
このように中括弧 { } を使って値をカンマで区切って並べると、最初の値から順番に score[0], score[1], … へと自動的に代入されます。
まとめ
今回は、C++における配列の基本的な考え方と使い方を解説しました。
- 配列は、同じデータ型の複数の値をまとめて管理するための仕組み。
- 配列の各要素には**0から始まる添字(インデックス)**が付いている。
配列名[添字]という形で、各要素にアクセス(代入・参照)する。- for文と組み合わせることで、配列の全要素を効率的に処理できる。
配列は、プログラミングで大量のデータを扱うための第一歩です。この仕組みをマスターして、より複雑で便利なプログラムの作成に挑戦してみてください。
